失われた国家機密情報が,ワイヤードのごみ箱から発見された。その時,リアルはどんな反応を示すだろうか。ワイヤードの情報で,国家が転覆することがあるだろうか。
米国国務省は17日,機密情報を格納していた可能性のある情報研究局のラップトップコンピューター1台が,約2ヶ月前に紛失したことを明らかにした。この事件は国務省のセキュリティーの甘さを物語る最新のものだ。昨年,FBIが国務省の会議室から盗聴装置を見つけ,その後,ロシア人のスパイが潜伏しているのを発見した。98年には,ツイードコートの男が,2人の秘書のいる前で,オルブライト国務長官のオフィスから機密文書を持ち去るという事件があった。
今回の事件のような,政府の機密文書が入っていたかもしれないラップトップコンピューターが盗難に遭うのは3度目。英国の陸軍士官が,ヒースロー空港で盗まれたのがひとつ。北アイルランドとの緊迫した内部機密を含んだコンピューターが,ロンドン地下鉄パディントン駅で,英国情報局保安部『MI5』の情報部員から盗まれたのがひとつ(CNET Japanの記事)。そして,今回。これが冷戦時代なら,スパイ合戦の果ての騒ぎとなるのだが,現代においては,単なるいたずらか,対政府組織の犯行か,となる。以前なら『eyes only』の機密文書も,今は(暗号化されていたとしても)デジタルデータとして,紙よりも残りやすくなっている,のかな。
メディアには出されない情報というのは,どこにでもあるものだ。密室の取引によって決められた外交規約,ある国を貶めることを目的とした経済秘策,はたまた地球外生命体に関する公にされない調査報告書(過去記事)…。ラップトップコンピューターの情報が取り出され,ワイヤードのどこかのごみ捨て場に捨てられる。誰かがそれを漁って,掘り出す。そんな物語を想像すると,ゾクゾクするような興奮はないだろうか。そしてそんなことが,いつか起こりそうな予感がする。ワイヤードは,リアルの秘密がなんの意味も持たない場所として存在しているのだから。
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